【酵母】酵母のおはなし。日本酒の香りや味は酵母の種類によって全然変わってくる!!
よくラベルとかに○○酵母使用とか書かれているけどあれって何が違うの?
そもそも酵母ってどんな働きをしているの?
酵母は日本酒やワインやビール、醤油や味噌やパンにも用いられる微生物です。ワインにはワイン酵母、醤油には醤油に合った酵母が存在します。
日本酒では主にアルコールをつくる役割をしています。
ほかにも日本酒の好ましい香りをつくってくれたり、酸味や味わいをつくってくれています。
それぞれの酵母がそれぞれの特徴を持ち日本酒の味や香りの決め手になっています。
日本酒の酵母は大きく分けて
・きょうかい酵母
・きょうかい酵母以外
に分けられます。
きょうかい酵母について。
今日の酒造りでは、蔵に住んでいる蔵付き酵母などでお酒を醸している蔵もありますが、日本醸造協会が培養し頒布している酵母を使うのが一般的です。
代表的なきょうかい酵母
・協会1号
櫻正宗より分離、現在は配布されていない。
・協会2号
月桂冠より分離、現在は配布されていない。
・協会3号
酔心より分離、現在は配布されていない。
・協会4号
広島の蔵元から分離、現在は配布されていない。
・協会5号
賀茂鶴から分離、現在は配布されていない。
・協会6号
新政酒造から分離。発酵力強く澄んだ穏やかな酒質になる。
・協会7号
真澄から分離。芳香よし、発酵力強く酒質優秀。現在最も多く使用されている酵母。
参考酒)
協会7号酵母の泡なし酵母「701」を使ったお酒です。
・協会8号酵母
協会6号の変異株。現在は配布されていない。
・協会9号
香露から分離。低温長期醗酵の吟醸酒向きの酵母。
協会9号の泡なし酵母「901」を使ったお酒です。
・協会10号
明利酒造にて分離。酸少なく軽快な酒質。吟醸香高く、長期もろみになりやすいがアルコール耐性弱い酵母。
・協会11号
協会7号の変異株。7号より酸が多い。リンゴ酸が多い。
・協会12号
浦霞から分離。芳香高く低温でよく発酵する。
・協会13号
9号と10号の交配株 アルコール耐性が強く酸少ない。現在は配布されていない。
・協会14号
金沢管内の蔵元のもろみから分離。酸少なく酢酸イソアミルの香りが強い。
・協会15号
秋田流花酵母が協会15号に採用された。7号酵母の突然変異と言われている。カプロン酸エチルの生成が高い。
補足 協会○○01
協会の後に「01」がつくと泡なし酵母です。
きょうかい酵母以外の酵母
日本各地で様々な酵母が分離されています。
各都道府県の工業技術センター、醸造試験場などでいろいろな特徴の酵母が生まれています。
・秋田県の秋田流花酵母AK1
・山形の山形酵母
山形酵母を使ったお酒
・長野県の長野アルプス酵母
・高知県のCEL-24、19
CEL-24を使ったおすすめのお酒
・東京農業大学短期大学部分離の花酵母
花酵母のナデシコ(ND-1)を使ったお酒の例。
など各地で様々な酵母が分離されています。
セルレニン耐性酵母
日本酒のフルーティーな華やかな香りは吟醸香と言ってカプロン酸エチルや酢酸イソアミルと呼ばれています。
カプロン酸エチルはカプロン酸という脂肪酸をにもとつくられています。
抗生物質のひとつの「セルレニン」はこのカプロン酸を合成するのを阻害しますが、これに対して耐性のある酵母を分離し、その中からカプロン酸生成の多いものカプロン酸エチルを多く生産する酵母が開発されました。この酵母をセルレニン耐性酵母と呼び他の酵母と区別しています。
主なセルレニン耐性酵母は協会1801や長野アルプス酵母、高知のCELL24などがセルレニン耐性酵母になります。
まとめ
酵母といってもいろんな種類のものがあるんだね。
セルレニン耐性酵母は吟醸の香りが多いはなやかなお酒になるんだね。
酵母はお酒の酒質に直接影響するので、種類が違えばそれだけでお酒の味が変わってきます。
セルレニン耐性酵母を使ったお酒はは明らかに吟醸香がたくさんでるので特徴がわかりやすいです。
様々な特徴を持つ酵母があるので飲み比べてみると面白いと思います。
私が飲んだお酒の中で一番衝撃を受けた酵母を使っているお酒は「亀泉 CEL-24」でした。
吟醸の香りがとても華やかで、甘み酸味もボリューム感があり特徴的で素晴らしいお酒だなと思いました。
このように様々な酵母によって多種多様の日本酒が造られています。
いろいろな酵母を比べて飲んでみると酵母の特徴がとらえられておもしろいと思います。
是非飲み比べてみてくださいね。
前回は酒造好適米について勉強しています。参考にどうぞ。
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