生酛ってなに?きになる酒母の種類を解説
生酛って最近よく見るけど、これって何なの?
生酛は酒母の種類のひとつです。
酒母は大きく分けて生酛系の酒母と速醸系の酒母に分けられます。
細菌などの増殖を抑える効果がある乳酸を
乳酸菌によって造らせる→生酛系の酒母
仕込みのときに乳酸を添加する→速醸系の酒母
になります。
山廃は生酛系の酒母のひとつです。
では詳しく説明していきましょう。
前回は「日本酒度」について勉強してます。参考にどうぞ
生酛系酒母の微生物について
生酛系酒母は日本酒を安全に醸造するために必要な「乳酸」を「乳酸菌」によって造ってもらう酒母です。
酒母は「優良な酵母」を健全に大量に培養することを目的としています。
自然界にはたくさんの微生物が存在していて「優良な酵母」が健全に大量に増殖するのを邪魔してきます。
そこで、邪魔な微生物を乳酸をつかって殺菌し、酵母が育ちやすい環境をつくるのです。
生酛系酒母はその乳酸を乳酸菌に作ってもらう酒母です。優良な酵母が大量に増殖するまでに様々な微生物が関わってきます。
①は「酒母仕込み直後」です。もろみの中に必要のない野生酵母や産膜酵母が存在しています。
②硝酸還元菌はもろみ中の糖分が濃糖になってくると生育が阻害され自然と淘汰されます。
この間に乳酸菌が増殖して乳酸を生成します。
この乳酸と亜硝酸のそして濃糖の相乗効果によって野生酵母は淘汰されるのです。
③清酒酵母は乳酸にある程度耐性が有り乳酸酸性化でも増殖します。
乳酸菌は自分で出した乳酸と残っている亜硝酸や酵母の出すアルコールによって死滅します。
④こうやって清酒酵母のみが優良に生育された酒母になります。
生酛系酒母と速醸系の酒母の味の違いについて
生酛系の酒母は上記の様に、清酒酵母が増殖するまでに多くの微生物が関わってきます。
また生酛系酒母は速醸系の酒母に比べて完成するまでに時間もかかります。作業工程も多く複雑になってきます。
ですので生酛系酒母の方が味も複雑になってきます。
実際に生酛系の酒母は速醸系の酒母に比べてアミノ酸が2~3倍多いのが一般的です。
また、生酛系で育てた酵母の方が強靱な細胞膜を持ち高いアルコール耐性を持つ酵母がそだちやすいです。
なのでもろみ中のアルコール分が高くなったときにも旺盛に発酵し、芳醇で深い味わいの酒をお酒になりやすいです。
まとめ
・生酛系の酒母は速醸系の酒母に比べてたくさんの微生物が関わり合って造られている。
・生酛系の酒母は操作が複雑で熟練した技術が必要。
・生酛系の酒母は速醸系の酒母に比べて芳醇で深い味のお酒になりやすい。
生酛系の酒母のほうがいろいろ複雑なんだね。
複雑なぶんできるお酒は芳醇で味わい深いお酒になります。
生酛系酒母のお酒をきき酒しています。参考にどうぞ
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